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99.✩楓さんの先輩
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✩✩✩✩
楓さんの仕事が音楽関係だったのには少し驚いた。
だけど驚くと同時に音楽関係の仕事をしてるって聞いたとき、楓さんにぴったりだな、なんて思った。
人気のあるアイドルの曲とかも作ってるみたいで、CMや街中で聞いたことのあるものがたくさんあった。
そのどれもが俺の好みの曲で、知らず知らずのうちにこんなとこでも楓さんの作ったものを好きになれてて嬉しかった。
楓さんの仕事部屋にはウォークインクローゼットに置いてあったのと似た機材があった。あの機材たちは楓さんの仕事道具だったんだ。
そして機材に囲まれるようにして配置されてる大きな棚には、本やCDの他に何枚か写真が飾ってある。
近くに寄って写真を見た瞬間、ドクンと心臓が跳ねた。
また、この人………。
写真の中で今よりちょっと若い楓さんに寄り添い笑っている男がさっきまで俺の心に影を落としていた人物で、途端に胸が締めつけられた。
本に挟まっていたやつと違ってここに飾ってある写真ではちゃんと服を着ている。
仲良く写真に写っている二人はかなり深い関係みたいだ。見たところセフレってわけでもないんだろう。
まさか、楓さんの元カレとか?前の俺と付き合う前にこの男と付き合っていたのかな?
でもそうなら、こうやって二人で撮った写真を飾っているところを見ると円満に別れたらしい。楓さんは恋愛事とかズルズル引き摺らないみたいだし。
並べられた写真を見ていくと俺が写ってるのもあって嬉しくなったけど、俺以外の人と仲良く写ってる写真と一緒に飾られているのがなんとも複雑だ。
「か、えでさん、これ………」
楓さんとその男が仲良く手を繋いでいる写真があって思わず楓さんに聞いてしまった。
屋外だけど男同士で恋人つなぎするのは、明らかに"そういう関係"だった、ってことだろう。だって俺は大学の友達と恋人つなぎなんてしない。キスマークを付けられるなんてもっての外だ。
おまけにこうやってたくさん写真を撮ってるわけだし。
「あー、それ?一緒に写ってるの俺の先輩」
「………へえ、先輩………」
この人、楓さんの先輩だったのか。
楓さん、先輩と付き合っていたんだ。
きっとこの先輩は俺の知らない楓さんを知っているんだろうな。
別に、楓さんの過去の恋愛に口出ししようとは思わないし、それこそ楓さんが誰と付き合うかなんて楓さんの自由だ。
だけど、こうやって思い出の写真を部屋に飾っていたり、それで少しでもこの先輩の事を思い出していたりするのは、なんか嫌だ。
ああ、また、心がモヤモヤしてる。
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