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190.✧お相手
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✧✧✧✧
旭と一緒にベッドに入って旭が寝付くのを待ってから、起こさないようにそっとベッドを出た。
暖房を切ってだいぶ経ったリビングは冷え込んでいて、体育座りで毛布に包まってソファーに座るとテーブルに置いてあるスマホの電源を入れた。
不在着信が十三件………。
全部、おばさんからだ。
サイレントモードにしていたから旭は気づかなかっただろうけど、旭が起きていたときからひっきりなしにかかって来ていた。うざったくて途中から電源落としたけど…。
少し、いやかなり、狂気を感じる。
今日は、おばさんがセッティングしたお見合いの日だったらしい。もちろん俺は行くわけがなくて、怒ったというか焦り始めたおばさんがこうして電話をかけてきてるのだろう。
早めにケリを付けないとな……、と思いながらスマホをいじっているとまた電話がかかってきた。
今度はおばさんじゃなくて、ちゃんと電話帳に登録している人からで安心した。
一呼吸おいてから電話に出ると、通話口の向こう側でふふっと笑う声がした。
『よかった、出てくださって。こんな遅くにごめんなさい』
「おばさんからじゃなくて君からの電話だったからね。時間も気にしなくていいよ」
『ありがとうございます。……またお母さまがしつこく電話されたのでしょう?本当にすみません……』
「まあ、仕方が無いよね、ばっくれたんだから。で、どうしたの?」
『そのお母さまが寝たので……。少し、お話できますか?』
初めにかけたのは俺からだけど、最近は彼女から母親が寝た頃を見計らって電話をかけてくるようになった。だから俺もそれくらいの時間には起きて少しの間彼女と話す。気が向いたときだけだ。気が向かなければそのまま旭と夢の中。
大丈夫だと返事をすると彼女は俺に送った雑誌を持ってくるように頼んだ。言われた通り、部屋から旭にバレないように保管しておいた雑誌を何冊か持ってくる。
『そろそろ段取りを決め始めた方がいいと思うんです。日程や場所なども皆さまにお伝えしなくてはなりませんし……』
「なるほどね。……でも、電話越しだとちょっと話しにくいね」
『それもそうですよね。……楓さん、来月空いてる日はありますか?一度お会いしませんか?』
「来月?俺は大丈夫だよ」
『お母さまがご友人と旅行に行くんです。その時なら誰にも邪魔されませんから。それまでに、お送りした雑誌の中からいくつか候補を決めていただければ……』
母親が旅行に行っている間くらいしか彼女は自由になれないのか。確か彼女には未婚の姉が二人いたはずだけど、話を聞く限り彼女の母親は彼女にばかり執着している気がする。あの人が企ててることは大方予想がついているけど、どうして彼女が使われているのかだけは分からなかった。
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