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1.人を好きになる基準-1
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人を好きになる基準は、人それぞれあるだろう。
それは、三善栄二(ミヨシ エイジ)にもある。
けれど、それが他の人間とは異なった基準であり、共感できる人はいないと思う。
「ん……」
「おーい、大丈夫か?」
久しぶりのセックスは、疲れた身体にとても響いた。
でも、それは疲れだけではなく、酒の力もあるのかもしれない。
頭も痛い。
喉も枯れている。
それに、昨日の記憶が途中からない。
「えっと……誰?」
三善は怠い身体をゆっくりと起こし、目の前にいる知らない男に首を傾げた。
「なんだよー。誘って来たのそっちなのに。本当、噂通りの人だなぁ」
目の前にいる男はそう言うと、三善をベッドに押し倒し、またしようとして来た。
「噂って、〝あの〟噂?」
「そう。昨日、打ち上げでそんな話ししてたら、あんたが抱かせてくれるって言って来たんだぜ? 覚えてねーの?」
男にそう言われ、少しずつ曖昧な記憶が蘇って来た。
そう言えば、そんな事言ったかもしれない。
「本当、すげー良い身体だった。なんか、もうアイツの事とかどうでも良くなったよ。だからさ、俺と付き合わね?」
男はそう言うと、三善の裸体を甘ったるく触りだし、行為の先を行おうとしてきた。
そんな男の手を、三善は冷静になった頭で拒否する。
「あーら、僕の噂知ってるなら分かるわよね? そうなったらお終いだって」
そして、慣れたおネェ口調でそう告げる。
「いいじゃん別に。好きになったんだからさ」
男はそんな三善の忠告を真に受けず、勝手に手を動かして来る。
(面倒臭……)
なんて面倒臭い男だろうか。
この男を選んだ昨日の自分を罵倒したい。
「やっぱり心よりも身体だよな。なんで俺、アイツの事好きだったんだろう」
男は笑いながらそう言って、三善の太腿をなぞった。
その言葉が三善の聞きたくない言葉だとも知らず。
(あー、最悪なの誘ったな……)
三善は心の中で憤りを押し込め、ハーッと息を吐く。
ここで切れても仕方ない。
悪いのはこんな男を誘った自分自身だ。
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