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1.人を好きになる基準-6
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あの壱成が興味を持つ男がいた。
その子の前だと、少しはにかみ、時折、楽しそうにしていた。
そんな顔を見てしまった。
その相手は、共演者の来宮ユキジ(クルミヤ ユキジ)。
声優をしているらしいその男の子は、第一印象は暗いイメージだったが、撮影が終わる頃には共演者と話す姿を何度か見掛け、打ち解けていた。
特に、壱成と話している時は、もっと深く、周りとは違う雰囲気を醸し出していた。
それが何か、本人達はまだ気付いていないようだが、三善には分かった。
「はぁ…頭痛い……」
ふと、昨日の夜の事を思い出し、頭が痛くなる。
思い出したくないのに、あの二人の顔がチラつく。
「お似合いだった…すごく……」
遠目から見て、とてもお似合いだった。
まだまだ距離感はあるけれど、そのぎこちなさがまた初々しく見えた。
「あんな顔…僕はさせてあげられなかった……」
身体を重ねた時、一度も視線が合う事は無かった。
荒い息、頬に落ちる汗。
あの熱は未だに身体が覚えている。
けれど、相手の顔がどんな風な表情をしていたかは覚えていない。
いや、覚えていないではなく、見ないようにしていたのかもしれない。
あの時は強く目を瞑っていたのかもしれない。
初めて身体を重ねた時のように、目隠しをされながらしたセックスのように、相手の強い想いと、与えられる熱を受け入れる事に必死になっていた気がする。
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