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2.偽りの口調、偽りの笑み-2
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今回のドラマはシリアス物で、主演を務める宮本夏は初めての主演であり、初めてのドラマだと聞いた。
日頃、そういった物とは縁遠く、バラエティーやスポーツ関連の仕事ばかり熟している宮本夏は、グループの中で一番身体を張る仕事ばかり担当していると聞いた。
そんな彼に、このドラマの配役は合っているのかと不思議に思う。
けれど、三善の仕事はそんな事を考える事ではない。
ただ、宮本夏がそのドラマで演じる役にハマるよう、服装や髪をセットする事だけを考える。
けれど、三善は宮本夏と面識は無く、ただ、Richのメンバーで、よく仕事で話す小童谷秋幸からの話しでしか知らなかった。
だから未だ瞑想中だ。
「宮本夏…どんな子なんだか……」
宮本夏のドラマの役は、とある事件で恋人を亡くし、その犯人を探す為に探偵事務所を開き、難事件に出くわしながらも真犯人へと導く役だった。
そんな役、彼にできるのかと思うが、ディレクターがこの男にしたいと言い張り、そうなったと聞いた。
それを聞き、宮本夏にはそんなにも何か惹かれる物が存在するのかと思った。
「サングラスある……煙草…ライター……ネクタイ10本……」
原作の小説は読んだ。
その内容は面白く、けれど、エロかった。
キスシーンは一話に一回はあり、ベッドシーンも何回かある話しだった。
それはヒロイン役の女だけではなく、依頼者や犯人と、幅広くと関係を持つ物で、それがこの小説の売りでもあるようだった。
けれど、月9で連ドラとなると、そこまでエロくは放送しないだろうとは思う。
するとすれば、キスシーンくらいに留まるはずだ。
そして、それを初ドラマの宮本夏が演じれるかが、今、この業界で話題となっていた。
周りは壱成が適役ではと思っていたようで、キャスティングが決まった時は誰もが驚いたようだ。
三善もその一人だった。
けれど、今はそれがありがたかった。
壱成とは距離を置きたいし、会いたくはない。
そう思う度、心の整理が付かないまま仕事を熟せる事はできなくて、自分はまだ大人ではないなと痛感する。
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