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2.偽りの口調、偽りの笑み-3
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「あー、もうっ、忘れろってば!」
三善はどんなに集中しても、ずっと頭にアイツが浮かぶ事が嫌になり、一人部屋でそう声を出した。
すると、ガチャっと扉が開き、人が入って来た。
「こんちはーッ! 宮本夏でっす! って…あれ……?」
その元気良さに圧倒されない人間などはいないと思うほど、入って来た男は明るく、元気だった。
三善はその明るく眩しい男に目が細まる。
「あれあれ? ここって衣装合わせする部屋っすよね? あれー、俺さっきここにスタイリストの人がいるって聞いたんだけど……」
夏はそう言うと、未だ、その夏の明るさに圧倒されてその場から動けないでいる三善の前にゆっくりと来た。
「なんで、同業者の人がいるんですか?」
「え……?」
夏は三善を見て、同じ職の人間だと思ったらしく、そう言いながらジロジロっと三善の顔をじっくりと見て来た。
三善は、そんな夏を見て、夏の整った顔に見惚れる。
(へー……濃い顔してるけど良い顔だな……)
雑誌とかで何度か見た事はあったが、こうやってじっくり見た事は無かった。
だから、夏の顔や身長の高さ、そして、その鍛えられた体躯にドキドキした。
「あ、あの……」
「え? あ、ごめんね」
無意識の行為だった。三善は夏の鍛え抜かれた腕を触っていた。
「いい身体だなって思って……」
この業界で稀にいない身体だ。
よく、むきむきな身体をした人はいるが、こんなバランスの整った身体はあまりいない。
それに、何年かこの仕事をして来たが、こんなにも良い身体を触った事はない。
それは、無意識で触ってしまうほどの良い身体だった。
好きになる基準に満たしていなくても、触れたくなる。
そんな身体だった。
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