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2.偽りの口調、偽りの笑み-10
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遊び人なら、そう言った言葉も出るだろう。
本命以外との行為は、キスもセックスも全てノーカウント。
それは、三善が今までに関係して来た人間と一緒だった。
(でも……)
でも、夏はそんな奴等と一緒の類とは何故か思えない。
外見はチャラそうに見えるが、中身は外見とは違うようにも思え、三善は戸惑う。
「それ以外ってなんですか?」
「え……? それ以外はそれ以外でしょ?」
突然、夏がそう聞いてきた。
それを聞き、三善は何も深く考えずにそう返した。
「うーん……。それ、俺にはどういう意味かよく分からないんですけど」
夏は本当に分かっていない様子で、三善のその言葉の意味を考えていた。
けれど、そこまで考える内容ではない。
だから、三善は「そうか」と思った。
「ごめんごめん。こう言う話しはタブーだね。売れっ子アイドルに恋愛話しみたいな会話しちゃいけないね」
こういう話しは慎重にならなければならない。
それは、相手が売れていれば売れているほど。
だから、夏は分からない素振りをしてそう返してきたのだと三善は感じ取った。
でも、それは違うようだった。
「恋愛話し? あ、そう言う事か。なるほど」
と言いながら一人納得し出す夏。
そんな夏を見て、クスクスっと笑ってしまう三善。
本当、何を考えているか分からない男だ。
そこが何故か三善にはツボだった。
「そうだよ。君が初めてのキスは好きな人としたかったとか言うから、そんな話しになったんだよ」
夏がそんな事を言わなければ、こんな方向に話しは行かなかった。
「そうだったそうだった。でも、それは本当ですよ」
「え?」
〝本当ですよ〟その言葉に、動きが止まる。
「だって俺、ずっとそれだけは夢だったんです。初めてのキスは、好きになった人として、そして、その後はぎゅっと強く抱き締めたいって」
その言葉は嘘ではなさそうだった。
だって、夏の目は嘘を付いてる目ではない。
ただ、本当にそれを夢見ていたと、その見詰められる目で訴えてきたのだ。
「か……彼女とかいないの?」
咄嗟にそんな言葉が出た。
なんで、そんな言葉が出たのかは自分でも分からない。
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