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2.偽りの口調、偽りの笑み-13
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そんな女に引っかかって欲しくはないと思うが、初めてのキスがあんな可愛い子なら本気になる確率は高い。
そして、そうなる姿を三善は何度も見て来た。
だから、そう思うのだった。
「俺、別に顔とかで判断しないんで、可愛いから嬉しいとか全くないっすね」
「えー、嘘だぁー」
そんなの嘘にしか聞こえない。
男に生まれた以上、可愛い子と付き合ったりセックスしたりする事は誇りでもあり、嬉しいに決まっている。
「いや、マジっす。俺、周りで可愛いって言われてる子とか見ても何にも感じないんですよね。へーって感じにしか思えなくて」
夏は三善が渡した飲み物をグビッと飲むと、あははっと笑った。
「だから俺は、好意を持った人には積極的に責めちゃうタイプなんだと思います」
「あー、なんかそんな感じするね」
「でも、そんな人と会った事がないんで、まだどうなるかとかは分かりませんけど」
夏はそう言うと、飲み干した紙コップを唇で挟み、加えながら上下に小さく動かして遊び始めた。
「ふふ、早く見付かると良いね、運命の相手に」
三善は、夏の言葉を聞いて、何故だろうか不思議な感覚になる。
それに、本当にそう思ってしまう。
夏に早く運命の相手を見付けて幸せになって欲しい。
だって、こんなにも真っ直ぐで無垢な男は他にはいない。
(こう言う男を好きになれたら良いのに……)
切実にそう思う。
それに、夏みたいな男に好かれる相手が羨ましいとさえ思えてしまう。
「夏君なら直ぐに見付かる……わよ」
そう思った瞬間、三善は口調を変えた。
まだ会って一時間もしない相手に、なぜこんなにも自分は夏に心を開いているのかが怖くなった。
羨ましい。そんな事を思った時点で自分はおかしい。
早く気付くべきなのに、修正する間が遅くなった。
「あの、聞いていいっすか?」
突然、夏が三善の顔をジッと見詰め、聞いてきた。
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