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2.偽りの口調、偽りの笑み-15
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三善のこの口調は偽りの口調だ。
わざと女の口調をして、自分の存在を誤魔化し、相手との距離を置く。
その為に、この口調をする事を決めた。
なのに、まさかそれを見破る人間が出るなんて。
「あと、その笑みも疲れないっすか?」
「え……?」
「三善さん、ずーっと笑ってるけどそれも嘘ですよね?」
「なッ……」
まさかそこまで指摘されるとは。
三善は言葉が出なくなる。
「俺には分かります。まぁ、今はなんとなくですけどね」
「今はって……」
〝今は〟その部分に何故か心がざわついた。
そこに何か意味が含まれているとは思えないが、でも、何かがざわついた。
「なんかあったんですか?」
「な、なんかって……」
ジッと見詰められ、その強い眼差しにパッと視線を外してしまった。
見透かされる。見透かされてしまう。そんな言葉が頭を過ぎった。
「な…なにもないよ……」
そう答えても説得力はない。
もう、その行為で、何かがありましたと言ってしまっている。
三善は後悔した。
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