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2.偽りの口調、偽りの笑み-16
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こんなにも深入りしなければよかった。
他の人からしたら、こんなのただの会話の一つなのかもしれない。
けれど、三善にとってこの会話自体が駄目なのだ。
見破られたのだ。
偽りの全てを。
こんな、今日会ったばかりの男に。
「な……夏君は知らなかったんだね」
だから、言わなくてはならない。
「何をっすか?」
距離を取らなくてはならない。
そう思った三善は、一呼吸置いて自身の口から話す事にした。
「僕ね、夏君が言うようにおネェではないよ。けどね、おネェではないけどゲイなんだ」
これでもう、近付いた距離は離れるだろう。
「そ、そうなんすかッ⁉︎」
ゲイだと聞いて、直ぐに態度に出す奴はあまりいないが、心の距離は離れる事は知っている。
こういう、純真無垢な男は特にそうなるだろうと三善は思った。
だから言った。
夏がこれ以上三善に近付かないように。
「ゲイって事は……」
「男が好き」
ニコッと笑みを作り、夏にそう答える。
夏は三善のその言葉に、ガタッとその大きな体躯を動かし、言葉を閉ざした。
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