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7.味わった事のない感情-7
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なんとも言えない感情。
それは、今までに味わった事のない感情だった。
「夏君は…抵抗ないの……?」
「抵抗? なんのっすか?」
「それは……」
「男同士とか? そんなの、俺は三善さんが好きだから男とか女とか関係ないっす。俺は三善さんだから……こんなにも惹かれて…好きになったんです」
そう言って、夏が優しく笑う。
三善にだけ、三善に向かって、ニタッと子供のように優しく笑う。
その笑みから伝わるのは、三善に対しての深い深い愛だけだった。
(こんな事言うの…この子しかいないな……)
こんなにも三善の事を一途に愛してくれるのは、きっと、今、この目の前にいる男しかいない。
そう思った瞬間、ズキっと胸が痛む。
(でもそれは…僕の事を何も知らないからだ……)
三善の今までの過去を知らないから、そんな事を言える。
もしも、メンバーである壱成と前に身体の関係があったと知ったら、夏は絶対に拒絶するはずだ。
それ以外に、三善の男の経験数や、過去に兄達に何をされたのか。それを知ったら、夏は三善に嫌悪感すら抱くだろう。
そう思うと苦しい。
この笑みが消えるのが怖い。
「き、君は…面白いね……」
「三善さん?」
「こんな男を好きなんて言うの、君くらいだよ……」
本当に夏だけだ。
ひたすら一途に、こんな自分をずっと想い続けてくれる男は。
「本当に好きなんですもん」
でも、そんな男を三善は探していた。
ずっと、求めていた。
「君は見る目がないんだね……」
けれど、その強い想いに応えられるほど、自分は綺麗じゃない。
夏のように、純真無垢な男ではない。
叶わない恋をしている人間ほど、素敵な人間などいない。そう三善はずっと思っている。
だからこそ、そんな男達に惹かれ、身体を繋げてきた。
でもそれが、今、後悔の念へと変わってしまう。
「三善さん、好きです」
この目の前の男のせいで。
その、三善しか見えていない男のせいで。
三善の心が複雑に交差する。
「じゃぁ、寝る?」
そして、三善の口からそんな言葉が出でしまう。
「相手、してあげるよ」
軽い誘い。
他の男達を誘って来た時の台詞。
夏には言いたくなかった、使いたくなかった台詞。
三善は、その台詞を言う事で、夏に対して抱く、自分でもよく分からない感情を消す事に決めた。
夏は驚いた顔をしていた。
けれど、小さく頷く姿を、三善は見逃さなかった。
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