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9.離れて気付いたこと-1
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「ミヨちゃん、ぼーっとしてどうしたの?」
「え……? あっ!」
「わっ! 大丈夫?」
急に声を掛けられ、三善は手に持っていたペットボトルを落としてしまう。
それを、声を掛けてきた男、秋幸が拾ってくれた。
「ごめんね、ありがとう……」
「ううん。……なんかあったの? 俺で良いなら相談に乗るよ?」
「……」
秋幸は、夏との関係を知らないので、純真にそう言ってくれていた。
その下心ない思いが逆に辛い。
「ううん。大丈夫だよ。ちょっと疲れたのかな……」
ここで、夏との関係について話したら、秋幸は大声を出して驚くだろう。
メンバーの一人と、良からぬ関係を築こうとしている。なんて、夏と同じくらい純真な秋幸に話すのは、心が痛くて忍びなかった。
だから、三善は、なにも秋幸には話せなかった。
(夏が好き、なわけではない……。ただ、あの一夜は濃すぎた……。それが忘れられない……)
セックスをしたわけではない。
ただ、一緒に扱かれただけ。
ただ、それだけの事。
なのに、それが3日経ってもその熱が身体から離れずに居座っている。
それに、その先をしたいと、身体が疼いてもいた。
(この頃……誰ともしてなかったからかな……)
夏と出会ってから、誰とも寝ていない。
誘いは多々あったのに、タイミングが悪く、いや、それは言い訳で、どの魅力的な誘いにも乗り気になれなかった。
だから、夏とのあの一夜が濃すぎて、忘れられないのだと思う。
相手が夏ではなくてもこうなった。
と、ハッキリと言いたいのに、それを認めない自分がいて、今の三善は情緒不安定なままだった。
(あんな事したのに……夏君も…まだ満足してなかったのに……)
夏は、一回イッて、三善を抱き締めたまま眠りについてしまった。
三善も、日頃の疲れと、強く抱き締める熱のせいですぐに寝てしまい、なにもせずにその日は終わった。
本当は、夏に抱かれるつもりだった。
自分から跨り、はしたなく腰を振るつもりだった。
でも、それをするのを忘れるくらい、夏に抱き締められながら寝る事が心地よかった。
安心。
その一言が当てはまる瞬間だった。
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