アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9.離れて気付いたこと-4
-
今は昼休憩と言っても、もう午後3時なので、食堂はいつもより人はいなかった。
皆、各自の仕事についているのだろう。
(いつもよりは、空いてる……)
この仕事は、キッチリと規則正しく事が運ぶ事はあまりない。
前の撮影が押す事もあれば、人気のタレントが打ち合わせに遅刻する事もあり、日々忙しない。
なので、決まった時間に食事をする事はない。
だから、ここの食堂は朝から晩まで営業している。
昼休憩もなし。
多忙な三善達にはありがたい事だ。
「あっ、みーっけ」
「え……?」
突然、声が聞こえ、次に目の前の椅子を引く音がして、三善は顔を上げた。
そこには、サングラスを掛けた男が立っていた。
見るからに高そうなブランドの服。
三善には、サングラスを外さなくても、直ぐにその男が誰だか分かった。
「小野口さん……」
「よっ、久しぶり。元気だったかー?」
その男は、大手事務所の看板俳優である、小野口涼至(オノグチ リョウジ)だった。
「いやー、久しぶりにこっちのスタジオで撮影でさ。三善がいないか探してたんだよな。で、空いた時間に探してたらビンゴしちゃったってわけ」
小野口はそう言うと、口元を上げて、嬉しそうにしていた。
「なんで僕なんか探してたんです?」
三善は、ジッと見詰めてくる小野口の熱い視線に気付きながらも、平然を装い、箸を動かす手を休めなかった。
「なんでって、分かるだろ?」
「っ……!」
小野口が、三善の空いている手をギュッと握ってきて食事を阻止してきた。
けれど、三善はその手をゆっくりと外し、動揺もせずに、止まった手を動かす。
「いいじゃん。久しぶりにしようよ。いやー、昨日可愛いモデルの子としたんだけど、イマイチでさ、やっぱり、初めて知った味が一番美味っての思い出したんだよなー」
「そりゃどーも……」
でも、何を言われても三善は動じない。
小野口に抱かれる事は絶対にないからだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
76 / 192