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10.加速していくオモイ-2
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頼めるのはこの男しかいない。
ここで、教えて貰えなければもう夏と会えるのはいつになるか分からない。
もしかしたら、このまま……。なんて事もあるかもしれない。
そう思うと、身体から血の気が引く。
「おねがい……お願いします………ッ」
電話をしてから、何度口にしたか分からない言葉。
でも、それ以外の言葉は思い付かない。
〝お願いします〟その言葉以外を、三善は言わなかった。
『……分かりました。夏とどんな関係かは知りませんが……教えます』
「え……?」
壱成はそう言うと、都内の有名病院の名を口にした。
『夏がいるのはそこの7階です。意識はまだ無いので……辛いと思いますけど……。来たいのなら…そこに来てください』
壱成のその言葉を聞き、三善は慌てて電話を切った。
そして、大きく手を挙げ、タクシーを呼んだ。
ありがたい事に、タクシーは直ぐに捕まったり、三善は乗った瞬間に何処へ向かうかを運転手に告げ、急ぎだと言う事も告げる。
運転手は三善の真っ青な顔を見て、緊急だと分かってくれたようで、車は直ぐに発進した。
(なつ…夏………っ)
早く会いたい。
どんな事になっていても、夏の側に行きたい。
三善はタクシーの中、ずっと下を向き、そして、両手を強く結び、祈り続けた。
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