アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
11.愛と涙とその姿-2
-
ようやく着いた。
三善は、不安や恐怖に押し潰されそうになりながら、院内へと足を踏み入れる。
「三善さん」
そして、管理人室前を通過し、エレベーターを探していると声を掛けられた。
その声は壱成だった。
「壱成君っ」
三善は壱成を見付けると、すぐに壱成の元へと駆け寄った。
「こっちです」
壱成は三善が目の前に来ると、腕をガシッと掴み、そして、そのまま引っ張るように先に進み始める。
「いいですか、俺の側から離れないで下さい。社長以外にバレたら大変なんで」
「う、うん……」
中本には言ったらしい。
それもそうかと三善は思った。
なぜなら、中本に嘘をつく事は難しい。それに、後からバレるよりも、最初から言っていた方がいいはずだ。
中本は器が大きく、とても信頼できる人間であり、三善とも仲が良かった。
中本が三善と夏の関係をどこまで把握しているかは分からないが。
中本なら、どんな事になっても理解してくれると思える。
そんな女性だ。
「ここです……」
壱成に連れられて着いた場所は、人がいない場所で、とても静かだった。
でも、確かに夏はいた。
「夏君……」
〝ICU〟と大きく書かれた部屋の中、酸素マスクをつけた夏がベッドの上にいた。
中には誰も入れないようにされてあり、ガラス越しの再会になった。
「命は取り留めたんですが……まだ安心できない状態には変わりないって先生が……」
「そうなんだ……」
痛々しい傷が夏の身体に刻まれていた。
それは顔にもあり、頭には頑丈に包帯が巻かれ、そこからは血が滲んでいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
84 / 192