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12.朝が来て、そして…-4
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何度涙を流しても、涙は枯れる事なく、次から次へと溢れ出す。
人間は、こんなにも涙を流せるのかと、腫れぼったくなってきた目元を拭いながら、三善は思った。
「好きだよ…。君が好きだ……っ」
そして、一度口にすると、もう自分の気持ちを抑える事ができない事も知った。
聞こえないと分かっていても、それでも、言いたくて仕方ない。
君に、好きだよって……。
「お…も……」
「えっ……」
夏の手がピクッと動いたかと思った瞬間、酸素マスクから微かに声が聞こえた。
〝俺も……〟
そう聞こえた。
三善は慌ててナースコールを押し、夏の手を更に強くぎゅっと握り、夏の名前を呼ぶ。
「夏君ッ!」
三善は立ち上がり、前のめりで夏の顔を見た。
すると、夏の目がゆっくりと開き、数回瞬きを繰り返した。
「なつくん……」
三善は、ホッと安堵し、夏の頬を優しく摩る。
すると、夏が空いている右手を動かし、その手を口元に運ぶと、付けていた酸素マスクを強引に外した。
「な、なにして………ンッ!」
頭を抱えられたと分かった時には、もう夏と唇を合わせていた。
夏は三善が前のめりになっているのを使い、空いている右手で三善の後頭部を抱き締めるように包み込み、そして、強引に自身に引き寄せたのだった。
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