アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13.笑顔の三善、泣いてる三善-2
-
夏は、その時どうしたらいいのか分からなくなった。
夏の手を握っている笑顔の三善は、早くこの先に進もうと、クイっとその手を引っ張って先を急かす。
けれど、夏は悩んだ末に、泣いた三善を選んだらしい。
「笑顔の三善さんに、俺はこう言ったんだ。泣いてる三善さんを、悲しむ三善さんを、笑顔にできるのは俺しかいないからってさ」
「夏…くん……」
「だから、俺は泣いてる三善さんを選んだ。俺が、三善さんを笑顔にするって生きてる時から決めてたから……」
夏の言葉は、三善のポカリと空いた何かをじわりじわりと埋めていった。
心が、温かくなる。
「そしたら、笑顔の三善さんが消えて、目を開けたら……現実の三善さんがいた」
夏はそっと、三善の頬を優しく撫でる。
愛おしそうに触ってくるその手つきに、三善は頬が熱くなる。
照れているのだ。
こんな風に思われたり、扱われたりした事がないから。
「幼い三善さんを素敵だったけど、やっぱり本物には勝てないっすね。……すっげー綺麗っす……」
夏はそう言うと優しく微笑み、三善の唇を親指で触ってくる。
「唇も…柔らかいし……」
「んっ……。そ、そんな触るな……っ」
プニプニっと触っていた指が、下唇を弄び始めたのに気付いた三善は、その指を甘噛みする。
「ははっ、噛まれちった」
「馬鹿……」
パクッと噛み付き、一瞬で唇を離すと、夏は三善を愛でるように見詰める。
その視線に気付き、三善は身体を伸ばし、チュッと夏の唇に自身の唇を押し当てた。
「っ!」
「ふはっ、驚きすぎ」
夏は三善の行動に驚き、大きな目をパチパチと何度も瞬きさせていた。
そんな夏に、三善は笑ってしまう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 192