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14.愛される事への喜び-1
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夏が意識を取り戻し、精密な検査が終わり、異常がないと判断されると、その後が早かった。
退院してからの夏のスケジュールはとてもギッシリで、中断になっていたドラマの撮影が再開され、休みのない生活になっていたのだった。
「どうして、私を見てくれないの……? こんなにも、愛してるのに……」
「悪いが……俺はもう一人で生きると決めたんだ。だから、こんな俺を愛しても意味は無い。忘れろ……」
「そんな……」
ドラマ最後の撮影は、夏が演じる役とミカリが演じる役の重要なシーンで、緊迫した雰囲気がスタジオに広がっていた。
そして、その緊迫した雰囲気が解き放たれる時が訪れる。
「カーーーットッ! オッケーです。お疲れ様でしたーーー!」
監督のその声に、スタジオにいる皆が喜びを表にする。
これでやっと、一つの作品を生みだすことができた。
「夏君、ミカリちゃん。お疲れ様」
今日で撮影が終わり、監督はメインの二人に手を差し出して握手を求めていた。
二人は笑顔でその手を握り返し、喜びを分かち合っていた。
監督がスタッフの元に戻ると、夏とミカリがコソコソと話しをしているのが見えた。
三善は、衣装や小道具を片付ける手を動かしながら二人の事を見詰め、どんな話しをしているのかと気もそぞろな状態になってしまう。
「そっか……。ううん、ごめんね。今のは忘れて」
「本当、ごめん」
微かに聞こえるのはそんな会話だけで、二人の会話はそれで終わってしまった。
そして、夏がこっちへと来る。
「着替えたいんでいいっすか?」
「え……? あ、うん」
夏は衣装の襟をクイっと引っ張り、早く脱ぎたいとアピールしてきた。
三善は、その夏の言葉に、後の事を他のスタッフにお願いして、夏の後を追った。
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