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18-1side麗
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仕事に向かった獅琉を見送った麗。
獅琉がいなくなった寂しさからこみ上げてくる涙を唇を噛んでぐっと我慢していると、後ろから狼に抱き上げられる。
「麗、唇噛むんじゃねーよ」
そう言われて顔を上げると狼が麗の唇を親指でなぞった。
「血出るだろ」
狼の眉が顰められて怖い顔になる。
でも麗は狼が怖くないことを知っていた。
最後に会ったのは何年か前で髪に白髪が増えているものの、獅琉によく似たその端整な顔は、還暦を過ぎても尚健在である。
ろうは、お顔もしゃべり方もしーにそっくり...
それに、やさしい...
狼の顔をもう一度見るとその顔は顰められたままで。
怒ってるのかなぁ...?
「ろう...?」
「お前軽いな...ちゃんと食ってるのか?」
「ぅ...」
「少食は治ってないんだな...
...麗、たまにはこっちに遊びに来い。年寄りは退屈だから」
「ろう、さみしいの...?」
「寂しい...?」
麗の言葉の意味がわからず、首を傾げている狼を見て麗も首を傾げる。
「さみしくない...?ぼくね...おるすばん、さみしい...しーを、まつの...ひとりさみしい...だからろうも、さみしい?」
「...そうか...」
狼はそれ以上何も言わなかったが、麗には分かった。
麗は置いていかれる寂しさも、待つことの寂しさも知っていた。
ろうはオオカミさんなのに...寂しがり屋さん...僕と同じ。
早く、帰ってきて...しー...
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