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外に出ると辺りはもう暗くなっていた。
「麗、少し散歩していくか?」
「お散歩...?」
「ああ、日も沈んだし日差し気にする必要もないしな...どうする?」
「いきたい...っ」
「りょーかい。あ、でもお前今日靴ないんだったな...」
「んんー...だっこがいいのっ」
「はいはい仰せのままに」
少し歩くと柚木に伝え、近くの公園に麗を連れてきた。
時間が遅いからか人の姿は疎らで、薄暗い中で麗の姿が目立つこともない。
静かな公園を歩いていると麗が何かを指さした。
「しー...あれ、なぁに?」
「ん?」
麗の指差した方向にあるのは大きな桜の木。
ちょうど今が満開を迎えているようでピンク色の花は綺麗にライトアップされていた。
「あれは桜だ」
「さ、くら?」
「そうだ。春に咲く花だ。ちょうど見れてよかったな...近くで見るか?」
「...ん」
目をキラキラさせて桜を見つめる麗。
「気に入ったか?」
「うん...すっごく、きれい...」
「...そうだな」
俺はお前より綺麗なもん見たことねーけどな。
「でもぼく...しーのほうがすき...」
ぽつりとそんな事を言う麗に小さく笑う。
「桜となんて比べるもんでもねーだろ」
麗と二人で桜を眺めながら、ふと山瀬の言葉を思い出した。
『ちゃんと話せ』
たしか山瀬はそう言っていた。
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