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19-5
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「麗」
「んぅ?」
名前を呼ぶとくりくりの赤い瞳が見上げてくる。
「好きだ...」
麗の目は一瞬大きく開かれたが、すぐに綺麗な笑顔を見せる。
「ぼくもしーだいすき」
麗の口癖のようなこの言葉。
でも今は違う。聞きたいのはそんな『すき』じゃないんだ。
「麗、違うんだよ。俺の好きは。お前を誰にも渡したくないし触らせたくない...
麗、好きなんだ...」
ドラマや映画みたいに綺麗な言葉を並べるわけでもなく、最後の方は声だって震えていた獅琉の告白。
だっせーな...俺...
「しー...?」
麗の首筋に顔を隠してしまった獅琉の頭を麗がぽふぽふと叩く。
「...んー?」
「ぼくね...しー、だいすき...」
「...」
獅琉の髪の毛を弄りながら麗が言う。
「ずっとしーだけ...だから、ぼく...ぜんぶあげる。ぜんぶ、しーのもの...しーとだったら...ぜんぶうれしい...だめ?」
「...俺、お前とキスもそれ以上もしたいんだけど?」
「それいじょう...?...ぼく、しーとなら...いい、よ?」
「...ばか」
それ以上の意味もわかってないくせに。
「ほんとにいいのか?」
「うん...っ」
顔を上げると見えるのは真っ赤な瞳。
その瞳の中に迷いの色は見えない。
「じゃあ、お前の全部貰う。返品なんてできねーからな」
「ん...っ」
何度も頷く麗の頭を撫でて旋毛にキスを落とす。
「今日から、恋人同士...でいいか?」
その言葉にぼっと赤くなる麗の顔。
お?恋人の意味は分かってんだな...?
「れーい?いいのか?」
もう一度聞くと
「ぼく...しーの、およめさん...」
となんとも麗らしい可愛らしい返事が返ってきた。
────14年間続いた2人の関係がまた一歩進んだのを見守っているのは、咲き乱れる桜の木。
麗を見つけれて、ここまで育ってくれて本当によかった...
今までもこれからもお前は俺が守るよ...
獅琉はただこの幸せがずっと続けばいいと願っていた。
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