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26-8side獅琉
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喜川隼を沈めて奥の部屋のドアを蹴破って中に入った獅琉は、その光景を見て息が止まりそうになった。
真っ黒の家具で揃えられた部屋のベッドの上で目を瞑っている麗。
「れいっ!!!」
麗の元に駆け寄ると麗は酷く衰弱している様子で、白い首には真っ黒の首輪がつけられている。
「...んだこれ...」
目の前が真っ赤に染まった。
やはりあの男は殺しておかなければならない、と振り返りそうになると同時に麗がうっすら目を開いた。
「...っ、し...ぃ...?」
「麗、すぐに家に帰って山瀬に治療させる...っ、遅くなってごめん...っもう少し、頑張ってくれ...っ」
頬を撫でながらそう言ってやると少し、麗の体から力が抜けた。
ずっと泣いていたのか麗の真紅の瞳がいつもより赤くなっていて、瞼も腫れている。
俺が...ちゃんと守ってやれなかったから...っ
「麗...、帰ろう。こんなところ、さっさと出るぞ」
麗にそう言っても僅かに開いている筈のその目に獅琉は映っておらず、声に反応もしない。
「麗...?」
麗は意識を失いかけているのか、瞼がどんどん下がっていく。
「麗!...れいっ」
今麗が目を閉じてしまったらもう二度と目を覚まさないような気がして、何度も麗の名前を呼ぶ獅琉。
しかし獅琉の呼びかけも虚しく麗の瞼は完全に閉じられてしまった。
最後に弱々しく開いた麗の唇が
「しー、ありがとう。だいすき」
と言っていたような気がした。
「おい...っ、麗...!...クソッ」
懐から銃を取り出して麗の鎖を撃って断ち、そっと麗を抱き上げて出口へ向かう。
腕の中で目を閉じている麗はまるで人形のようで、麗を拾った日を思い出す。
あの時も、ずっと目閉じてたな...
でも今はあの時とは比べ物にならないほど、こいつが大事で...思い出もたくさんできた...
大丈夫、麗はきっとまた元気になる。
そう自分に言い聞かせながら外へ出ると柚木の車が停まっていて、柚木が走り寄ってきた。
「麗さんっ!!」
「すぐ車出せ」
「はい...!山瀬さんが家で待ってます」
無言で車に乗り込んだ獅琉は家に着くまでずっと麗の白くて綺麗な顔を見つめていた。
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