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騒音発生機稼働中 2
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「太一食堂行こうぜ!!」
無音の空間に響く大きな声。
何人かは耳を押さえている。
「・・・・・・遠山」
遠山と呼ばれた少年は、切り揃えられた金髪に大きくぱっちりとした藍色の瞳。睫毛も長くすっと通った鼻筋、小さく赤い唇。頬はほんのりピンク色。
それは天使と称されるような容姿だった。
ただし喋らなければ。
「葉瑠夏って呼べって言っただろ!親友なんだからさ!なぁ、それより早く行こうぜ!あいつらも待ってるんだからさ!」
「でも弁当あるし」
「そんなの食堂で食えば良いじゃん!ほら早くしろよ!太一はほんとどんくさいな。だから友達がいないんだぞ!」
いくら容姿が可愛く天使のようでも喋ればただの騒音発生機。
遠山からビックリマークが取れることはない。
「ほら早く行こうぜ!太一は俺がいないと何にもできないんだからな!」
何か言いたそうに口を開けた少年――長山太一の腕を引き少年――遠山葉瑠夏はもと来た道をモースピードで駆けていった。
二人が去った教室では、何かが折れる音。何かが倒れる音が幾つも聞こえた。
長山の腕を嬉々として引いて走っている遠山には、そんなもの聞こえるはずもなく。
遠山の頭はすでに昼飯のことでいっぱいだった。
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