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遠山葉瑠夏至上主義者達 1
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この学校には食堂が二つある。
一つは本校舎、一つは寮。
寮は基本的に授業時間内は立ち入り禁止。
したがって本校舎の食堂は昼休憩には多くの生徒でごった返す。
それが嫌な者は購買で買って静かな教室で食べている。
しかしほとんどの生徒は、そんな人混みなんてなんのその。眼福のためなら、人混みを掻き分けベストポジションを確保する。
私立如月高校の行事運営は全て生徒会に一任されている。
時には教師よりも立場が上になる、それが私立如月高校生徒会である。
しかもそれだけではなく、生徒会は一般生徒の人気投票――別名『抱きたい・抱かれたいランキング』によって決まる。
そのランキングで選ばれた生徒には必ず親衛隊がある。
親衛隊とは『○○様(親衛対象)が穏やかに過ごせるよう皆で見守りましょう』もとい『抜け駆けなんてしてみろ。どんなことになるか解ってんだろうな』のもとに結成されたファンクラブのようなものだ。
食堂でのベストポジションを確保しているのは、そんな親衛隊だ。
いつもなら親衛対象を賞賛する黄土色の叫び声が聞こえてくるが、近頃は少し違っている。
多くの生徒が集まるなかその視線は一点に集中していた。
「オムライスにしようかな?あ、でもハンバーグも旨そうだな!」
「それでは僕がハンバーグにしますから、葉瑠夏はオムライスにしたらどうですか?半分こしましょう。それならどっちも食べられますよ」
「あ!それいいな!静雅はやっぱ頭良いよな!」
「ふふ、そんなことないですよ」
食堂には一般席から階段で登った所に生徒会専用席が設けられている。
人気がある彼らは、いつ、どこにいたって注目の的になる。
しかも生徒会の雑務に追われ、ゆっくり休息をとる時間もない。
食事の時間だけでもゆっくりできるようにとの学校側の配慮だ。
そんな彼らを一般席から憧憬の眼差しで見つめるのが彼ら――親衛隊の日常だった。
遠山葉瑠夏が編入してくるまでは。
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