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それぞれの思わく 2
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昼休み終了10分前。
長山は静かに食堂を抜け出し隔離校舎までの廊下を歩いていた。
食堂を抜け出す際、長山に気づいた何人かが足を投げ出してきたがそれを飛んでかわした。
いくつか踏んでしまったけれどそれは仕方ない。
そこに足があったんだから。
誰もいない廊下をゆったり歩きながらぼんやり思う。
あの日は気分が良かったから少し散歩していた。
中庭の辺りまで来た時だった。
ものすごい勢いで走ってきた何かにぶつかって、その衝撃で長山は地面に尻餅をついた。
痛みに顔をしかめる間もなく、上から聞こえたのは大きな罵声。
「いってー!気を付けろよ!怪我するだろ!謝れよ謝ったら許してやるから!」
「・・・・・ご、ごめん」
その勢いに押され謝ると相手はニカッと笑った。
「謝ったから許してやるよ俺は優しいからな!なぁなぁお前名前は?俺は遠山葉瑠夏!葉瑠夏って呼べよな!」
「え、ぁ・・・長山」
「下の名前も教えろって!友達だろ!」
いつ・どこで友達になったのか解らないが、遠山の勢いに押され名前を呟いた。
「・・・・太一」
「太一だな!俺たち今日から親友なっ!」
「・・・・は?」
「だって名前似てるもんな!遠山に長山、な!そっくりだろ!」
訳の解らない持論を展開する遠山に周りは何も言えなかった。
だったら全国の山田さん、山崎さん、山口さん、その他山の付く人は全員お前の親友かっ!
誰もがツッコミを我慢した。
下手なことを言えば自分が標的になる。
その場にいる全員が僅か数分の間に理解した。
こいつと関わらない方が身のためだ、と。
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