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動き出す影 1
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朝礼前、櫻川は隔離校舎一階廊下を早足で歩いていた。
その顔は鬼気迫るものがある。
目的の教室に着き、一度呼吸を整える。
そして静かにドアを開いた。
途端に教室のあちこちでたむろし喋っていた不良達の視線が一斉に注がれる。
しかし、櫻川はそんな視線気にしていないかのように迷うことなく教室の中を進んでいく。
その足がピタリと止まったのは長山の前。
当の長山は気づいているのかいないのか、頬杖をつき窓の外を眺めている。
「・・・・・・・・・・さ・・・ま」
小さすぎたその声は長山の耳に届かない。
「・・・・・っ・・・・太一様っ!」
その声にピクリと反応した長山はゆるりと顔を戻した。
櫻川の顔を認識すると一瞬目を見開き、その後緩やかに笑みを浮かべた。
「久しぶりだね、碧」
「はいっ!すごくすごく逢いたかったです」
始業を告げるチャイムが鳴り響く。
「教室戻らなくてもいいの?」
櫻川は首を横に振った。
「今日は貴方に大事なお話があって来ましたから」
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