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光の先に見たもの 6
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そういえば隔離校舎だけは調べてなかった。
しかし、あの人は平凡なんかじゃない。
そう思いつつも櫻川の心には何かが引っ掛かっていた。
それでも隔離校舎に行くことには躊躇した。
暴行を受けていた頃を思い出すから。
もうあんな痛い思いしたくない。
考えただけで恐怖で足がガクガク震えてしまう。
そんな櫻川を動かしたのはあの人にもう一度会いたい。
その思いだけだった。
何度か恐怖で止まりそうになる足を叱責しながら隔離校舎へと足を動かした。
窓の外、木の影に隠れながら校舎の中を窺う。
中には見るからに柄の悪そうな連中しかいない。
ここにもいないのか
落胆しかけたその時、教室の真ん中で本を読んでいる1人の生徒が目に止まった。
周囲と比べると平凡であるはずのその生徒から櫻川は何故か目が離せなくなった。
不意にその生徒が窓の外、櫻川がいる方を向いた。
咄嗟に木の影に隠れる。
櫻川は胸の動悸が高まるのを感じた。
一瞬だけ見えた顔。
眼鏡で隠れていたけれど間違いない。
あの人だ
あの瞳だ
やっと見つけた
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