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矛先
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「なんで平凡がいるんだ」
「「そーだよ、僕たちは葉瑠夏だけ呼んだんだよ?平凡は呼んでないよ~」」
「・・・へ・・ぼん・・・きえろ」
隔離校舎から生徒会室まで長山の腕はずっと遠山に捕まれたままで。
ここに来る途中、たくさんの視線に晒された。
『なんで!』
『どうして!』
『パッと出の人間に!』
『あんな平凡が!』
嫉妬、憎悪、憤怒、嫌悪、ありとあらゆる負の感情が渦巻くその空間で、遠山だけは嬉嬉とした表情を携えて夢中で走っていた。
たとえ傍迷惑な騒音発生機だとしても顔だけを見れば遠山は天使だ。
たとえ自分達が崇拝している生徒会の皆様の側にいてもまだ我慢できる。
だが長山は違う。
ただの平凡があの方達に近づいていいはずがない。
身分をわきまえろ。不釣り合いだ。
恋は盲目、全ての感情が長山に向かう。
制裁もまたしかり。
遠山の周りには常に生徒会がいる。
手が出せない。
だからこそ遠山が受けるはずの制裁は全て長山へと向かう。
それはここでも同じ。
「そんなこと言うなよ!俺が太一といたいから連れてきたんだぞ!」
「本当に葉瑠夏は優しいですね。それに比べてあなたたちは葉瑠夏の気持ちを解ろうともしないで」
「そうだぞ!俺に謝れよ!」
「・・・・悪かったよ」
「「ごめんなさーい」」
「・・・・・・ごめん」
「謝ったんだから許してやるよ!俺は優しいからな!」
安心した表情を浮かべる生徒会。
遠山に話しかけながらも事の発端である長山を睨むことは忘れない。
同じことしか言わない
この下等生物どもが
長山は今度こそ笑いたいのを我慢して無表情を貫き静かに座っていた。
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