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メタモルフォーゼ
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「はぁ?櫻川が関わってないってどういうこと?」
「櫻川って~、会長の親衛隊の隊長なんでしょ?それなのに関係ないって可笑しくない?」
矢崎と澤城が疑問を口にする。
「桐生様はあっちゃんのこと信用してないんだよ。元々あっちゃんが親衛隊に入ったのだって、太ちゃんの為なわけだし。あっちゃんが隊長になってからは、あっちゃん目当ての隊員も増えたしね」
櫻川が長山と運命的な出会いを果たしたように、阿南にもそれなりのドラマがある。だが今話すことではないし、阿南自身もあまり話したがらないので、またの機会に話すことにする。
「一番制裁に乗り気なのは未来ちゃんかな。太ちゃんのこと本気で消したいって思ってるし、なにより柳様に盲目的だし、柳様の命令ならどんな非道なことでもしちゃうよ」
阿南はテーブルに座ったまま足を組み換え言葉を続ける。
「アヤちゃんは乱暴なことは好きじゃないけど、来須様の言うことは絶対だから。あ、僕のとこは心配しなくていいよ。手綱はちゃんと握ってるし、もし規約を破ったら辛くて苦しいお仕置きが待ってるからね」
幼子のように純真な表情ではあるが、それはどこか冷たく寒気がするような、そんな笑顔だった。
「それに・・・・」
テーブルの上からひょいと飛び降りると長山のもとまで歩き、その頬に両手を添える。
「僕が忠誠を誓うのは太ちゃんだけだから。誰にも渡さないよ?この瞳は僕のものなんだから。誰も傷つけることは許さない。もし、太ちゃんを傷つける人がいたら僕が壊してあげる」
櫻川と、柏木を筆頭にこの部屋にいる人間それぞれが形や大きさは違えど長山を想っていることにはかわりない。
だが阿南のそれは異質だった。
狂愛にも似た独占欲。
その瞳にはどこまでも純粋な闇が広がっていた。
「だけど柚季、俺の邪魔をすることは許さないよ」
「うん、それは大丈夫。太ちゃんの楽しみは僕の楽しみでもあるから――――だからそれを邪魔する人は全部消しちゃうの」
小さな子猫が獰猛な肉食動物へと変貌する。
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