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無機質な証言者
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ジー・・・・ジジ・・・・ジー
『葉瑠夏これも食べてみてください』
『これも~』
『葉瑠夏のために取り寄せたんだよ~』
『・・・・・・あーん、する』
『そんな奴等にかまってないでこっちへ来い』
『うおっ!いきなりなにするんだよ!危ないだろ!お前ら本当に俺のこと好きだよな!しょーがないから皆かまってやるよ!俺は優しいからな!』
ジー・・・・ジジ・・・・ジー
『親衛隊ってそんなに酷い連中なのか!よし俺が叱ってやるよ!悪いことをしてることをちゃんと教えてやらなきゃな!』
ジー・・・・・ジー・・・
『なぁ俺この学校探険してみたい。来たばっかだからよく知らないんだよな!』
『『探険??』』
『面白そう!』
『賛成!』
『・・・・・俺も・・・行く』
『じゃあ、皆で行こうぜ!その方が絶対楽しいって!』
『そうですね、行きましょうか』
『ふん、餓鬼の遊びか』
『ではあなたは行かないんですね』
『誰も行かないとは言ってねぇだろうが』
ジー・・・・ジジジ・・・・ジー
『おじさんがテストは受けないでもいいって言ったんだ!俺は特別なんだってさ!お前らも頼んでやるよ!そしたらいつだって遊べるだろ!』
ジー・・・・ジー・・・ジジ・ジー
『別荘?!』
『ああ俺様の別荘だ。特別に招待してやるよ』
『すっげー!!そしたら皆で夜まで遊べるんだな!』
『いや、こいつらは』
『なんでだよ!皆で行った方が絶対楽しいって!』
『チッ、しょうがねぇな』
『『うわ~い!』』
『会長の別荘には海もあるだよ』
『一緒に泳ごうね』
『おう!』
『ふふ、楽しみですね』
『・・・・・・葉瑠夏・・・一緒・・・』
ジー・・・・ジー・・・・ジ・・・カチ
「これは今日までのお前達の言動の一部始終だ。聞いての通りいっさい生徒会業務を行っていない」
「なっ!そんなの嘘です!偽物です!」
「なんなら声紋鑑定にかけてもいいが?」
決定的な逃れられない証拠がでてきたにも関わらず抗おうとする。
たいそう滑稽でしかないが、ここである事実が浮き彫りになった。
その事に気付いた者達から小さな疑問の声が漏れる。
「おじさんって?」
「テスト受けないでいいってどういうこと?」
その声は徐々に大きくなり食堂全体に広がった。
「そして遠山葉瑠夏、お前は転入してから1度も授業を受けず、テストも放棄した。よって退学処分とする。これは理事長も同意している」
「なっ!嘘だ!おじさんがそんなこと言うはずない!」
「こんなことで嘘を吐いて俺になんの得がある。理事長はお前にこう言ったそうだな。お前の好きにしてもいい、ただしそれでどうなっても私はお前を庇わない、と。それをお前はテストを受けないでいいと自分のいいように解釈し好き勝手な振る舞いをした。理事長も呆れ果てていたぞ」
「嘘だ、そんなの嘘だ!おじさんはテスト受けないでいいって!俺の好きなことしていいって言った!」
おじさんは、おじさんは、と意味もなく叫び続ける遠山は誰かの助けがないと生きられない子供同然。
「・・・・・はるか・・・・おじさん?」
「それはつまり・・・・」
「理事長の親族・・・」
「「本当なの?葉瑠夏」」
突きつけられた事実と思いがけない真実に生徒会は唖然としながらもなんとか声を発した。
「今はそんなこと関係ないだろ!俺が退学になることの方が問題だろ!」
「ぇ、ぁ、すいません」
「なんで俺が退学なんだよ!」
「同じことを何度も言わせるな、授業欠席率の多さ、テスト放棄、器物破損、充分過ぎる理由だ」
鳴海が手を上げると、先程遠山を押さえていたのとはまた違った生徒が出てきて数人がかりで遠山を抱えあげた。
「うおっ!なにすんだ!」
「正式な手続きが終わるまで特別室に隔離しておけ」
「はーなーせー!!!」
喚き、暴れ、叫びながら遠山はモーゼの十戒の如く割れた生徒達で出来た壁の向こう側へと消えた。
「これで五月蝿い邪魔物はいなくなった。次はお前達の番だ、生徒会」
唖然とした様子でそれを見ていた生徒会はその声に振り返り、ぞくりと底冷えするような瞳で自分達を見下ろす鳴海を見つめた。
「もう一度だけ言う。二度は言わんからよく聞けよ。桐生帝、柳静雅、宮内海、宮内彗、来須廉、以上5名は生徒会業務を怠ったとしてリコールとする!」
歓声と怒号が飛び交うなか長山は誰にも気付かれることなく静かに食堂を後にした。
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