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末路
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長山の目論見通りそこからは酷く滑稽なことが展開された。
生徒会は自分のことを支持してくれる者を探し回った。
最初に行き着くのはやはり自らの元親衛隊。
だがとっくに見限った親衛隊が生徒会の言葉に首を縦に振るはずがない。
そうなれば矛先は親衛隊に属していない一般生徒へと向く。
一般生徒にしてみれば迷惑な話だが。
だが元来生徒会に興味がない一般生徒達は話を聞くどころか取り合うこともしない。
そこではじめて生徒会は思い知る。
自分達に味方など1人もいないのだと。
その様は酷く滑稽だった。
「・・・・ふはっ」
その様子をパソコンを通して見ていた長山は吹き出すように笑った。
その瞳には愉しい愉しいと書いてある。
人が落ちていく様を見るのは酷く愉しいと。
「・・・・太一」
その様子に呆れたような声色で咎める。
長年、もっと言えば物心がついた頃からの付き合いではあるが柏木には長山の嗜好がいっさい理解できなかった。
柏木には他人の不幸を喜ぶ趣味などない。
「解ってるよ」
長山は柏木の言葉を軽く躱すと別のパソコンに向かって手を動かしている矢崎に目を向けた。
「真也、アレの様子は?」
「風紀も酷く手を焼いてるみたいだね。部屋中暴れまくってる」
そう言って矢崎は画面を長山に見えるように傾けた。
『出せ!ここから出せよ!こんなことしたらダメなんだぞ!おじさんに言いつけてやる!』
見捨てられたはずのおじの名を出し、出せ出せと騒ぎ続ける。
その様子は正しく見世物小屋の猿。
品の欠片もない。
「てかさっさと退学にしちゃえばいいのにね~。そしたらもっと早く静かになると思うけど~?」
「それがそんなに簡単なことじゃないみたいだよ」
澤城の疑問に倉橋が答える。
「なんで?お前は退学だ!ってスパッと切り捨てちゃえばいいだけじゃん。ほら簡単、THE END。皆幸せハッピーエンド」
「この学校は一応優秀な人達を集めた進学校だから。生徒のほとんどが会社社長の息子だしね。だから今までたいした騒動は起きなかったんだよ」
「なるほど、だから退学なんてこともはじめてだと」
「そう、一応理事長の許可は出たといっても学校側は戸惑ってるんじゃないかな。生徒会がいない今は特にね」
「ふ~ん大変だね」
どこか他人事のような声を出す澤城。
実際他人事なのだけれど。
「このまま何も起きなければいいけどね」
そんななか長山はどこか不安げな声を出す。
それを聞いて、次いでその顔を見て柏木はもはやお馴染みになった溜め息を吐き出した。
「・・・・・太一、声と顔が合ってないぞ」
それにこの部屋にいる全ての者の視線が長山に集まる。
悲観めいた言葉とは裏腹な顔に浮かぶ笑み。
何も起きなければいいと言いながら、何か起こしてくれなければつまらないと思う。
このまま終わってしまっては期待外れもいいとこだ。
最後までもがいてもがき続けろ
そして俺を
「愉しませろよ、遠山葉瑠夏」
最後の最後まで
終わりの刻は刻一刻と近づいてくる。
だがそう簡単には終わらせない。
そんなのはつまらない。
クライマックスは盛り上がってこそのクライマックスだ。
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