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Episode1 『風紀委員長誕生』 ③
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――職員室――
今の時間帯は丁度1限目が始まった頃のため、不幸か幸いか職員室には職員の姿が見当たらない。
「一体、どういう事なのか、その…全体的に説明してほしい」
高嶺桜高校に務めて23年になるベテラン教師、関山(せきやま)は、数分前、校内でもわりと有名である不良生徒をあっという間に撃退した一人の生徒と向き合っていた。
頭に浮かんだ言葉をそのまま口に出したため、非常に曖昧なものになってしまい、関山はしまったと後悔した。
「僕が、クズに手を挙げたことに驚いた、といったところでしょうか」
心をまるで見透かされているような霧間の言葉に、関山は直観的に「コイツには敵わない」と感じざるを得なかった。
「……ぁ…「僕は苛立っている」
関山が口を開こうとするのを遮るように、霧間はピシャリと言う。
しかし、それは関山本人に直接話しかける言葉というよりも独り言のように思えた。
「僕より強い人間はここにはいないでしょう」
「そんな風には…初めてお前を見た時には思いもしなかったよ…」
関山はやれやれといった様子で霧間の言葉を受け入れる。
先ほどの村上とのやり取りを見て、霧間がかなり腕の立つ少年だということがわかっていたため、そんなことはないと否定する理由はどこにもない。
関山が、霧間と二人きりでいる今この瞬間、一つ気づいたことがある。
というよりも、今まで見落としていたことがあった。
それは、霧間慎弥の目が、普通の男子高校生の目ではないということだ。
一概には説明できないその目は、例えると
――まるで化け物だな……
そう関山が考えたと同時に、霧間の口元がわずか一瞬、村上に一発いれた後と同じように、上がっているように見えた。
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