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Episode1 『風紀委員長誕生』 ④
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今まで出会ってきた教師は、犬みたいな存在だった。
僕の頭脳が優れていると分かった途端、明らかに態度を変えてきた。
いつもヘコヘコ頭を僕に下げて、ゴマをすり、僕を利用して学校の名を売りたがっていることに気付くのは容易いことだったよ。
卑屈な犬の行為に僕は反吐が出そうだった。
それよりも、僕を利用するなんて、あり得ないだろう?
でも、今目の前にいる教師は、犬とはどこか違うみたいだね。
僕を利用するという点では変わらないかもしれないが、僕の暇つぶしには至適かつ、かなり面白そうなことを考えているんじゃないかな。
「貴方は、賢明な方です」
一回りどころか30以上年が離れている教え子にいきなり称賛を受け、関山は眉をしかめた。
関山の表情を見た霧間はフッと息を漏らし、穏やかに言う。
「勘違いしないでください。別に貴方を馬鹿にした訳ではありません。ただ、貴方は僕に、何かさせようとしていますよね…?」
「あぁ…だが――…」
関山はうなだれるように肘を座っている膝の上に置き、視線を足元に移した。
教師として、絶対に考えてはならない目論みに、関山は迷っていた。
関山の目論み、それは――
「霧間の絶対的力で、この高嶺桜高校の不良行為をする問題児をねじ伏せる」
「僕の絶対的力で、この高嶺桜高校のクズをねじ伏せる」
霧間と関山の声が重なった。
まるで、交渉成立を表している様だった。
「貴方が教師として罪悪感を覚える必要はありません。それに」
霧間の話が不自然に途切れ、違和感を覚えた関山は足元にあった視線を霧間に向ける。
「僕がタダで承諾すると、お思いで?」
霧間は笑っていた。
意地悪そうな笑みだったが、関山は、不思議と嫌な気分にはならなかった。
むしろ、関山はこう思った。
――綺麗に笑う化け物だな
こうして、霧間は「自由」の権利と引き換えに、学校で不良行為を繰り返す問題児を消滅させる役割を承諾したのであった。
「そうだな…表向きでは――…『風紀委員』と呼ばせてもらおうか」
おもしろいですね、と、化け物はまた笑うのだった。
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