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Episode2 『不登校の登校日』 ①
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――4月 入学式当日――
「ふぁ~ああ…」
長い桜並木の下を歩く銀髪の男、王生 皇(いくるみ こう)は、ダルそうに大きなあくびをした。
王生は、現在、高嶺桜高校を騒がさせている張本人である。
というのも、1年生の時、数日顔を出したきり、今この4年目まで一度も学校には行かなかった有名な不登校の生徒だったからだ。
しかし、この学校では不登校の生徒など珍しくはない。
王生が学校で有名なのは、「不登校」であることではなく、「高嶺の絶対王者」と呼ばれている人物だからである。
王生は極度に頭が良い。
勿論、勉学の面でも優れているが、裏から手を回すのが得意でもあった。
運動神経にも優れていて、喧嘩も並はずれて強い。
どんなに大勢の不良が束になり、かかったとしても、王生に敵う者など誰もいなかった。
そして、生徒が何よりも王生を恐れている理由がある。
それは、王生が都内を占めるヤクザ王生組の48代目組長の跡取り息子、ということだ。
単なる七光りではなく、王生自身、頭の回転が速く、人を惹きつける魅力もあり、誰かの上に立つセンスがあった。
まさに、高嶺に居座る王者に相応しいとして、誰かが「高嶺の絶対王者」と呼び始めたのが由来である。
ヤクザの息子を預かっている学校側の気は非常に重く、王生が入学して数日もしないうちに不登校になっても、王生に説教をしようとする勇者は誰もいなかった。
2年、3年と時が過ぎ、教育機関の目を気にする一方で、当然の如く出席日数が足りない王生を、卒業させることは不可能である。
手に汗握りながらも、王生へ譲歩して1年の留年通知を出し、返事を待った。
学校側は、約丸々3年間も不登校だった王生が留年通知を出した程度で学校に顔を出す訳がないと考えていた。
しかし、学校側の予想は誤っていた。
高嶺の絶対王者からの返事は
YES
だった。
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