アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Episode2 『不登校の登校日』 ⑤
-
あの凛とした声に、俺はその声の主が噂の風紀委員長、「霧間慎弥」であると直感した。
名前でしかヤツの存在を知らなかった俺は、霧間の姿を見て驚かされた。
タクからの情報では、霧間慎弥は高嶺桜の不良を短時間で制圧する程の力を持った男だと聞いていた。
どんな屈強な男が現れると思ったら、現れたのは細身の優男。
顔は恐ろしいほど整っていて、艶やかな黒髪がサラサラと風に程よく靡いている。
でも、普通の高校生じゃないことは一目見て解った。
霧間の目は、獲物を捕らえた化け物の目をしていたからだ。
俺は思わず笑った。
こんなにも面白い男が同じ学校にいたのだから。
今まで自分は何をしていたのだろう。
どれだけ求め、探しても見つけることができなかった存在が、こんなに近くに居たとは。
もっと早くからこいつに出会っていればこのクソつまらない日常を破壊してくれるに違いなかった。
「ちょっと今までの時間を無駄にしたかな」
俺は今この瞬間、初めて学校を休んでいたことを後悔した。
そして、霧間は自分に向けられる熱い視線に気付くこともなく、不良の絨毯の上を歩き、その場を去るのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 47