アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Episode4 『初対面、初手合わせ』 ②
-
先手を打たれた霧間は柄にもなく驚いていた。
見ず知らずの男に名前を呼ばれたこと。
男が目にも留まらない速さで自分を制御したこと。
でも、霧間が一番驚いたのは
――なんて馬鹿力っ……!
「……僕に気安く触らないでくれる…?」
霧間は腕をねじって王生から逃れようと渾身の力を振り絞って抵抗していた。
それなのに、王生が掴む手はビクともしないのだ。
王生は、つれないな、と言いながらにやりと笑う。
そして、そんな霧間に追い打ちをかけるように、王生はさらに強い力で思い切り霧間を引く。
「……っ!!!」
霧間はとうとう踏みとどまることができず、バランスを崩し、机に掛けてあった王生の足にうつ伏せにもたれかかる体勢となってしまった。
「ふざけ……」
ふざけるな。
と言い、すぐさま起き上がろうとしたと同時に王生の大きな手が霧間の後ろ首を掴んだ。
強い力で抑え込まれ、顔を上がることも起き上がることさえもできない。
「油断した?悪いが、俺はお前より強い」
王生は霧間が顔を上げられないのを良いことに、霧間の耳に囁き、フゥッ…と熱い息を吹きかける。
ピク…と気付くか気付かないかくらいほんの少し身体を揺らし、霧間は抑えつけられた首が軋むにもかかわらず、王生を鋭い眼光で睨み付けた。
と、次の瞬間
「!!!」
霧間は地面を勢いよく蹴り上げた。
ヒュッという音と共に、王生の頭の横に蹴りを一発いれようとする。
王生は咄嗟にそれを避けた。
その時、霧間を抑え込んでいた手の力が一瞬緩まった。
霧間はその隙を狙い、一回転して、開いていた窓の枠に着地したのだった。
王生は驚きで目を見開き、そして笑った。
「人間技じゃねーな。まるで猫だ」
「………」
王生はゆっくりと立ち上がり、霧間の方を向く。
霧間も、窓から降り、王生と向き合う。
背中で受ける暖かいそよ風と、王生が放った言葉とが重なり霧間を再び苛立たせた。
――王生、皇と言ったか。許せないな……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 47