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Episode4 『初対面、初手合わせ』 ③
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「どうした?怖じ気づいちまったか?」
「五月蠅いよ」
霧間は王生の首目がけて休む間もなく拳や足技で攻めた。
しかし、王生は余裕そうに後退しながらも全て避けていくのだった。
「ククッ…本当に、毛並み逆立てている猫みたいだな」
可愛い、と王生は霧間に言う。
すると今までで一番素早い拳が王生の顔面一直線に飛んでくる。
気が付くと、二人はいつの間にか廊下へと出ていて、王生の背後は廊下の窓が迫っていた。
「甘いな…猫ちゃん」
次の瞬間、王生は身を翻し、窓から飛び降りた。
「!!」
――ここは4階っ――…そうか、ここの下には露台があった。
霧間の読み通り、王生は3階の露台に着地していた。
王生は窓から自分を気に食わなそうに見下ろしている霧間に聞こえるように大きな声で叫んだ。
「慎弥、一つだけ忠告だ。俺たちみたいな外道は、どんな手を使うかわからない」
――…?
初対面でいきなり下の名前で呼ばれたことが気に入らなかったこともあるが、霧間は何を当たり前のことを言っているのだと王生を睨み付けた。
「あまり油断していると、思ってもいなかった奴に後ろから噛み付かれるかもな」
これは忠告だ、と言って王生は、今度は2階の露台へと飛び降り、あっという間に姿を消してしまった。
霧間は王生を追おうとは思わなかった。
――油断はしていたよ。でも、次あった時には、容赦しない。
霧間は無意識に手を後ろ首に添える。
王生に掴まれた左腕と首が、強く痛むのだった。
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