アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Episode5 『罠』 ②
-
「お前ら、やれ」
村上の合図とともに、4人の不良が一斉に霧間に飛び掛かる。
「何度やっても同じだよ」
霧間は一人目の拳を避け、回し蹴りを相手の頭部に直撃させた。
「がっ……!」
他の3人も次々と霧間に殴りかかるが、華麗に受け流されたり、避けられたりして拳は虚しく空を切るばかりである。
圧倒的な力の差を見せつけられ、4人の不良はうろたえる。
その時、霧間との戦いを見ていた村上が叫んだ。
「首と、左腕を狙え!!」
――ちっ…気付かれた……。
王生とやり合った時に負傷した首と左腕が上手く動かないのは確かだった。
しかし、それをわざわざ見破られるような動きを霧間はしていない。
素人目には判るはずもない、かすかな違和感を、村上は一瞬のうちに見抜いたのだ。
それを聞いた不良たちは驚いたような顔で村上を一瞥し、それから4人お互いにニヤリと顔を合わせた。
「霧間、なめた口はもう利けなくなるぜ」
「観念しな!!!」
村上からの助言を頼りに、4人の不良は霧間の首と左腕を集中的に攻める。
断然不利になった霧間は、顔をしかめた。
――恨むよ。王生皇――…。
この時
霧間は4人の不良の攻撃を避けるのに精一杯だったため、背後から迫る村上の存在に注意を向けることができなかった。
――しまっ…
その間際、霧間は村上の気配に気付いた。
しかし
村上に目を向けたのが過ちだった。
シュッゥゥゥゥゥ――――――――――!!!!!!
「っっう!!!!」
至近距離で鳴らされたスプレー音
瞬時にやってくる激痛
自分の意思とは関係なく流れ出す涙
「催涙スプレーだ。霧間ぁ、ぶっ飛んじまうくらい、痛いだろう?」
霧間は目を覆う。
村上の言う事を落ち着いて聞いている余裕は無かった。
――目が、開けられない――…
眼球への激痛は全く収まる気配がない。
涙も止まることなく、中庭の春の青い芝生に落ちる。
霧間は高嶺桜高校に来て、この時初めて
地面に膝をつけたのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 47