アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Episode6 『はぐれ者の末路』 ②
-
俺は小さい頃からガタイが良く、身長も高く、目つきも悪かったためか、好んで近寄る人間なんて誰一人いなかった。
何もしていない俺に、周りの態度は何故か厳しい。
孤独に耐えられなかった俺は、人を殴った。
殴って、殴って、そんな生活を送るようになった。
お袋と親父は変貌した俺に奇異の眼差しを向けるようになり、俺から離れていく。
乾いた心は涙すら生まない。
俺はたった一人
ならば
周りの奴らの期待通り、強くなれば良いという、単純な考えに俺は辿り着いた。
誰よりも強い存在になろうとする目標があることで、俺は何とか立ち上がることができた。
体格に恵まれた俺は力が強く、喧嘩を続け、高嶺桜では2年でリーダー格にまで登った。
そんな当時の俺の目標は、「高嶺の絶対王者」と呼ばれてる男を見つけ出し、ぶっ飛ばすことだった。
でも
そんな俺の前に、突如現れた壁は、あまりにも大きく、眩しい。
――「僕の言葉にいち早く反応して、他人の机を蹴り飛ばす君の頭は、空っぽだと言ったんだよ」
霧間は俺らみたいな不良をよく「頭空っぽ」「クズ」と言い罵ってくる。
当然最初は腹が立った。
だが、すぐ手が出る俺のような存在は、確かにクズで、頭空っぽなのかもしれないと時々思うようになった。
霧間はひょろっとしていて、あいつが抵抗しなければ俺は腕の一つや二つは折ることができる自信があった。
でも
いくらやっても結果は同じで、俺は地面に這いつくばって霧間を見上げることしかできない。
いつしか俺は、圧倒的な力を持つ霧間に憧れを抱くようになっていた。
あいつはあいつで、「風紀委員長」と呼ばれるようになり、どんどん高嶺桜の不良を制圧していく。
たった一人で、俺に背を向けて、あいつは進んでいく。
たった一人
俺は思った。
――あいつの後ろを守りたい。
――一緒に歩きたい。
どうか
――一人で行かないでくれ―――…。
一人にしないでくれ―――…。
そんな執着にも似た感情を霧間に抱くようになった頃、あの出来事は、何の前触れもなく起きたんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 47