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Episode6 『はぐれ者の末路』 ④
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「お~う…やってるねぇ~…オジサンも混ぜてよ……」
声の方向を見ると、真黒なスーツを纏ったサングラスの男が正門に肘をかけ、こちらを見ている。
そいつが発するオーラ尋常ではなく、恐ろしくて身震いする程のものだった。
――漆戸組か―――…!!!
俺はすぐにそいつが漆戸組の人間だと理解した。
いつの間にか正門の前には一目で上等であると判る真黒な高級車が何台も止まっている。
次々と黒いスーツの集団が出てきて俺らを囲んだ。
そして、先程声をかけてきたサングラス男が、俺と霧間にゆっくりと近付いてくる。
その瞬間―――
「うっ…!!!!」
俺は霧間に強く突き飛ばされていた。
予想していなかった突然の行為に、俺は勢いよく尻餅をついた。
何しやがる、と霧間に怒鳴ろうとして顔を上げる。
そこにあった風景は
俺の頭があった場所に突き出された屈強な手。
その腕を掴む霧間の姿。
「ごめんごめん!お呼びでない顔がいたもんだからつい」
サングラスの男はパッと両手を挙げておちゃらけたように言う。
「んで、気は変わった?シンヤくん」
「少しも」
サングラス男の問いかけに即答する霧間。
すると男はハハハッと笑い、その後にハァ…とため息をついた。
「俺もさぁ、立場ってものがあるからさ、すぐ退散って訳にはいかないのよ。わかる?この大人の事情」
「……」
サングラス男は肩を竦めて俺と霧間を囲む黒スーツの集団を見渡す。
「悪いとは思わないでねシンヤくん。ほら、うちの連中を無傷で帰らすのとボスに俺が仕事してないってバレちゃうからさ」
「…この方たちに傷を負わせても構わないと?」
霧間は何かを探るように、言う。
俺はこの時、霧間の言葉に違和感を感じた。
――いつもみたいにボコせば良い話だろ…?
それはまるで、今まで何人もの不良を制圧してきた霧間が、俺らを囲む集団に手を出すのを躊躇っているように思えたのだ。
――相手がヤクザだからビビってんのか…?
だが、実際目の前で行われているやり取りは、俺の予想を遥かに上回っていた。
「嗚呼、勿論。キミに負ける位ならその程度」
男はサングラスを取ってにんまりと笑った。
しかしその目は、決して笑っていなかった。
「心置きなく処分することができる」
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