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Episode6 『はぐれ者の末路』 ⑥
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「幕開けだ」
サングラス男の声がしたと同時に、霧間と村上を囲んでいた漆戸組の人間が一斉に殴りかかってくる。
「黒髪に標的を定めろ!!あいつの意識を奪えば終いだ!」
漆戸組の一人が皆に霧間を集中攻撃するように声をかけた。
村上についていた者もその声を聞くと身を翻し霧間の方向へと向う。
――!!霧間っ!!
村上は霧間を援護し、共に戦おうと考えていたが叶わない。
それ以前に、漆戸組の気を霧間から逸らし、自分に注意を向けることさえもできていなかった。
――俺は…見てるだけしかできないのか…?
村上は自分の無力さに腹が立ち、同時に絶望していた。
すると
「泣きそうな顔しちゃって」
声の方を振り返ると、サングラス男が村上をニヤニヤ見ていた。
「ククク…シンヤくんはきっと彼らを皆殺しにするだろうね」
――この野郎ッ!!
村上は頭に血が上り、サングラス男の首を掴んだ。
勢いでスーツのポケットに入れていたサングラスがカシャンと音を鳴らして落ちる。
「てめぇが…!!霧間にそう仕向けたんだろ!!!」
霧間に負けたら、もしくは霧間を捕らえることができなかったら、ここにいる漆戸組の人間は、処分される。
生きるために、漆戸組の人間は必死だった。
「離せ、糞餓鬼」
首にかかる手の力は緩まず、ギリギリと音を鳴らす。
サングラス男は動じることもなく、村上を今にも人を殺しそうな鋭い目で睨み付ける。
しかし
村上は人殺しの目から逃げなかった。
それどころか
村上の目は
それによく似た目をしていたのだ。
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