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Episode7 『偽言』 ②
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「そんな身体でどこに行くつもりだったんだ?霧間ぁ…」
「…離せ」
そうは言ったものの、霧間は自分の力では立ち上がることができない。
村上が霧間の上半身を支え、何とか床に膝立ちしている状態だった。
「俺がこの手離したらお前、崩れ落ちるぜ?」
「…僕に触るな」
霧間は村上を拒絶しながらも、先程から微動だにできていない。
「チッ」
村上は頑なに自分を受け入れようとしない霧間の態度に苛立ちを覚え、顔を歪める。
そして身を低くし、霧間を抱えた。
「!!」
軽々と抱えられた身体はベッドへと再び沈む。
「霧間ぁ、少しは状況をわきまえろよ」
村上の大きな手が、霧間の鎖骨に触れ、ゆっくりと上になぞる。
男にしては若干華奢に感じられる霧間の首に辿り着くと、軽く締め付けた。
――コイツ、細ぇな。このまま力入れたら、折れちまいそうだ…。
5分程経っただろうか。
村上は同じ体勢で、霧間の首を掴んでいる手の感触、はだけたワイシャツから見える霧間の白い肌に意識を奪われていた。
――霧間が、今、俺の下に居る。
村上は、この時を除いて今まで一度も霧間を見下ろしたことが無かった。
いつも喧嘩では負けた。
しかし、負けた敗北感よりも、圧倒的な眩しい存在へ憧れの感情を抱いた。
――きりま。
いつしか一緒に、味方として霧間の側に居たいと思った。
――きりま。俺が。
守りたいと、一人にさせたくないと思った。
――きりま。一人は怖い。
どこかに行ってしまうのではないかと不安だった。
――きりま。どこにも。
ずっと側に、抱きしめておきたかった。
――きりまに、触れたい。
黒く風によく靡く髪。
――きりまに、触りたい。
白い、肌理が細かそうな肌。
――強く引き寄せて。
生意気な、少し吊り上がり気味の目。
――強く抱きしめて。
身長の割には意外と華奢な身体。
――俺だけのシルシを身体中につけて。
憧れだけではない感情が、村上の中で暴れまわる。
――霧間ぁ…。
俺は
お前が…ーー
「好きなんだ」
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