アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Episode7 『偽言』 ③
-
「好きなんだ」
予想だにしていない村上の言葉に、霧間は目を見開かせた。
その上、ベッドで男に覆い被されている状態は、笑えなかった。
「冗談、きついよ?」
霧間は村上の目を逸らさずに真っ直ぐ見据えた。
村上は霧間の言葉に一瞬顔を歪ませ、次の瞬間にはフッと鼻で笑った。
「何本気にしてんだ霧間ぁ。ビビったか?」
「こんな類の冗談、君の口から聞けるとは思ってもいなかったよ」
村上の質の悪いジョークを喰らった霧間は、皮肉を込めて返す。
「君の遊びには付き合っていられない。そろそろ僕の上から退いてくれないかな」
未だに力の入らない身体に鞭を振るって上半身を起こそうと肘をつく。
しかし、捕らえた獲物を逃がそうとする訳もなく、村上はベッドに押し付けるように霧間の肩を強く抑え込んだ。
思うように動かない霧間の身体はいとも簡単にベッドに沈む。
――今なら、コイツを壊せちまうんじゃないかって思うぜ……
ガタイの良い村上にとって、抵抗が出来ない霧間を抑えつけるなど、赤子の手をひねるようなものだった。
前までは指一つ触れることさえ叶わなかった霧間をこんなにも近距離で見ることができる。
――こんなに細せぇ…。白くて、儚くて……
「オイ、霧間ぁ。頭が空っぽのクズに組み敷かれる思いはどうだ?」
「…………」
霧間は自分よりも身体が大きい男を目の前に、何をされてもおかしくない不利な状況にもかかわらず、静かに村上を睨み付ける。
――…その目だ。俺を受け入れようとしないその目。
「ハッ……無様だなぁ…霧間ぁ」
村上はそう言いながら無様なのは自分だと理解していた。
霧間に執着し続け、力で押さえつけ、やっと、今手の中にある。
なのに
――霧間は…俺を…拒絶している
「なぁ、霧間」
村上は鼓動を高鳴らせながら、霧間の目から逃げるように、その真っ直ぐな目を大きな手のひらで覆った。
――手に入らないのは知っている。それなら少しだけ
大きな身をかがめ、霧間の耳元に顔を近づける。
村上の隠しきれていない欲情の息遣いが漏れ、霧間の首筋や耳にかかる。
――壊していいよなぁ…?
「男同士でも、気持ちよくなれるんだぜ?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 47