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Episode7 『偽言』 ④
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「男同士でも、気持ちよくなれるんだぜ…?」
村上は僅かに開いていた霧間の両脚の隙間に自分の膝を滑り込ませた。
再び思いがけない村上の言葉と行為を目の前にした霧間は眉間にしわを寄せる。
少なくとも四か月の村上には、霧間にこのようなことはできないはずだ。
身体がいくら鍛えられていても、いくら体格に恵まれていても、決定的に村上には弱い部分があった。
村上が姿を消す前までは、霧間は毎日のように村上と拳を交えていた。
だからこそ、いつからか気付いた。
“村上は何かに脅えている”
村上が感じている脅威が霧間に対してなのか、それとも別の“何か”なのかは、霧間にもはっきりとわかっていなかったが、村上に勝つには十分だった。
しかし、今目の前にいる村上にはそれを感じさせない。
自分を克服した-…と言えば聞こえは良いが、村上のそれは違う。
まるで、過去の自分を喰らった、というべきだ。
村上は無言で霧間のワイシャツのボタンを一つひとつ外していく。
露わになった白い素肌に、ゴツゴツとした村上の大きな手の平がそっと当てられ、胸から腹へとゆっくり移動する。
少し余裕のない息遣いが狭い寮室に響き、村上が興奮していることがわかる。
一方霧間は動じることもなく、そんな村上の様子を静かに見ていた。
先程のスタンガンのせいで、身体が完全に言うことをきかない今の霧間の状態では、いくら抵抗したところで、体格差のある村上の相手にはならない。
村上の触れ方は、嫌がらせとは程遠く、愛撫に近かった。
まるで霧間の存在を確かめるように身体を撫でまわす感触。
幸い、理性を保っているおかげか、それ以上の行為に移る気配はまだない。
しかし、いつ歯止めが狂うかわからない村上に、霧間はとうとう、探るように言葉をかけた。
「君は、漆戸組に入ったのか?」
胸を撫でていた手が止まる。
「そうだ」
村上の表情は無表情。
「あの日、俺らの前にアイツ等が現れて、お前は勝った」
村上の手が言葉と共にまた動き始める。
「そして、お前はいつものように俺に背中を向けて去った」
「!!」
突如、村上が霧間の肩掴み、うつ伏せに覆した。
霧間は反射的にまだ自由の利かない身体を起こそうと腕を立てたが、村上に後頭部を鷲掴みに押さえつけられ、枕に突っ伏させるかたちとなった。
思い切り睨み付けようとした次の瞬間、肌蹴ていたワイシャツを凄い力で引っ張られ、ビッという鈍い音とともに無理矢理下げられる。
肘に引っかかり完全には脱がされなかったが、背中が露わになった。
背中には、あの日村上を庇ってできたナイフの傷跡が痛々しく残っていた。
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