アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
出会い (渉視点)
-
この凄い雨、傘を持ってるのに わざわざ差さないで歩いてる俺は馬鹿なんだろうな…
「…そうだよ、俺は馬鹿だよ…」
俺の名前は黒澤 渉(くろさわ しょう)
今し方、公務員試験の合格発表の確認をし
見事 試験に落ちた事を認識した高校3年の野郎だ…
不採用の連絡を貰った時は どうしても誰もいない家にいることが出来ず
この雨の中を適当に歩いていたんだが、途中から歩いていて傘をさすのも嫌になった。
これから先、なにもかもが不安で不安で しょうがなかった。
「これからどうすんだよ俺…」
俺の家庭は決して裕福なんかではない。
裕福どころか、とんでもない貧乏な家庭である。
だから高校生で早くも就職試験を受けたんだ。
…まぁ、結果としては見事に不合格という現実を貰ったが…
だが貧乏な家庭になった原因、そして裕福になれない原因はしっかりと今もある訳で…
「…姉貴、どんな顔すんだろうなぁ……」
そう、俺には血の繋がった姉がいるのだ。
今も裕福になれない原因の1つ。
姉は金遣いがとても荒いのだ。
欲しいゲームが出たら直ぐに買う、欲しい本が出たら真っ先に買い漁る…
しかも、奴が買うのはどれもこれも男と男が抱き合うような内容のモノ…
これだけで大抵、俺位の年齢層の奴は察する事が出来るだろう…
そう、BLモノの品物だ。 しかも、かなりハードな。
正直、俺にはあんなモノ理解が出来ない。
それどころか、あんな気持ちの悪いモノを見ると胸糞悪くなる。
「…もう少しマシな姉だったらなぁ……」
俺は今日 何度目か分からない深い溜め息をついた。
『溜め息をつくと幸せが逃げるぞっ』
…俺の実の母がよく言っていた言葉だ。
そう、この人物こそが、俺の家庭が貧乏になってしまった一番の原因。
そして まだ子供だった俺達を置いて どっかに行ってしまったクソ女…
思い出せば思い出すほど、とんでもない女だ…あれは確か―――――
「にぃぃぃぃぃ…」
と、俺が あの女の事を思い出そうとした その時…
近くから何かの声らしきモノが聞こえた。
『なんだ?』と思い、周囲を見渡してみたが、声の正体が分かるような人物はいない。
「にぃぃぃぃ…にぃぃぃぃぃ……」
…まただ。 またさっきの声が…しかし今度は さっきよりも大きな声で聞こえた。
『下…?』
そう思い、俺が下を見たその時…
一匹の小さな小さな茶色い仔猫がいたんだ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 41