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何かいます
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「ゆうや、ただいまー。」
玄関の開く音に続き、スリッパのパタパタという音が近づいて、カチャリとリビングのドアが開いた。
「おかえり、なんか予定より早いね。」
俺は、飲みかけのコーヒー牛乳の入ったカップをテーブルに置いて振り返った。ひよこの絵のついた、お土産の饅頭が入っているだろうと思われる紙袋と、明るい茶色の旅行鞄をソファーに置いた母ちゃんが、疲れた…と言いながらコートを脱ごうとしていた。
「ああ、当麻君が駅まで迎えに来てくれたからね。おかげで、助かったわー。」
当麻兄ちゃんは大学生の従兄で、わりと近くに住んでいる。なかなかのイケメンで料理が上手いし、近くだからってうちにちょくちょく来てる。
「ばあちゃん、元気だった?結局、何もらったん。」
「相変わらず元気だったわよ。何かね、ちっちゃな小物入れ。」
先日、ばあちゃんに渡したいものがあるからと母ちゃんが呼び出されて、故郷である隣県の田舎町まで昨日から出掛けていた。ちなみに、父ちゃんは仕事の関係でゴルフに行ってて今はいない。
「鞄の中に入ってるから、出していいわよ。」
あんまり興味はなかったものの、母ちゃんが土日を犠牲にしてまで取りに行ったんだから、労をねぎらう意味も込めて見ておこうかと、鞄を開けた。
タオルで包まれた年季の入った木箱発見。中身はどんなもんだろ。
木箱をテーブルに乗せ、蓋に手を掛ける。開けようとして、角を縁取る凝った模様の金具で指先を引っ掻いた。
「いたッ!」
指先をちらっと見るも、怪我はしてなさそうだし、早く中身を見たくてすぐに視線は箱の中。
割れない様にか、中に綿がしき詰めらてる真ん中に真っ白な小さい陶器が見えた。
箱の蓋を置き、ゆっくり慎重に取り出す。高さが6センチ程でつるりとしてる。大きさは、手のひらに乗るくらい。蓋が付いていて、その蓋には花びらの形の穴が幾つか空いてる。胴体に椿の花が鮮やかな朱色で描かれた、結構凝った造り。
小物入れなら、中になんかあるかも?
蓋のつまみ、これまた椿の花を模ったものを摘まんで覗き込む。
「空っぽ。」
ん、やっぱりか…。若干の、お宝発見の期待は消えた。本体に蓋をそっと戻して、…固まった。
「わッ、血が付いてる!」
慌てて、自分の指を見れば、先程金具で引っ掻いた所から血が出てた。ありゃ、怪我してたんか。
「やべ、拭かなきゃ。」
ティッシュ、ティッシュ…。ん?ティッシュ探して彷徨わせてた視線が自分の左横で止まる。
んん?
な、何か、人がいる!母ちゃんと、俺だけが居るはずの空間に第三者!
なん、なんなん!?
わわわわっ!か、母ちゃんは、いつの間にかリビング出てた!正しくは俺となんか知らねー奴と二人きりっ!ってか、誰なん!!!てか、人なん?
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