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雨の日
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それから1週間、
龍希はと言うと友人の家や実家を行ったり来たりで、過ごしていた。
素直に実家に居れば良いのだが、
元々、母と一緒に居るのは苦手だったので、あまり顔を合わせたくなかったのだ。
母の事は大好きだけれど、なかなか家族になれない関係は自分で滑稽にすら感じたからだ
そんなある日の事だ。
その日、龍希は実家へ戻るつもりだった。
朝から天候が悪く、本社で軽い会議を終えた後、直接店へは戻らずに、実家へ一度戻り、
午後からゆっくりと店へ出るつもりにしていた。
天候がますます悪くなる中、
龍希の気分も良いとは言えないものになってきた。
何故か?それは今、たどり着こうとしている所は、苦手な実家である上に、隣にはあの貴仁の住む家が有るからだった。
確かに隣とは言え、
そこそこ大きな道を挟んだ隣なので、
すぐ視界に入る。と、言う程の距離ではないのだが、
それは得てして、意識していなければ。の、話に他ならない。
さて、龍希が実家へ着いたのは、まだ昼には幾ばくか早い時間であった。
朝から今にも降り出しそうだった空は
もう、曇りを維持する事を止め、
小さな小さな雨を降らせ始めていた。
意識しまいとしてはいたものの、
そんな虚勢は所詮通しきる事など出来ず、
龍希は、実家の門をくぐる手前で暫し悩み
ふ、と、貴仁の家の方へ視線をやった。
20メートルも無いで有ろう先に有る貴仁の家。
坂道になった所に互いの家が有るため、自分の実家からは、少し見上げる形になるその家の庭。
木蓮の木が見える。
そして、そこで終われば良いものの、龍希はそのまま視線を真横にスライドさせた。
それは
貴仁の家の門の所で釘付けになった。
そう。
そこには、彼が居たのだ。
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