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ニコリ。
と、見せたけんちゃんのその笑顔は「絶対に。」と、言っても構わないくらい、幸せな気持ちになれるパワーが有る。
貴仁も、その力に抗えなかったのだろうか?
いいですよ。と、玄関の中へと招き入れた。
そして、家の中まで入ろうとする貴仁へ、けんちゃんは
ここでいいですよ。と、慌てて断りを入れた。
しかし……と、渋る貴仁に、長居はしませんので。
と玄関先で二人はしばし立ち話を始めた
内容は、勿論龍希の事だ。
龍希が今自分の所に居ること、そして、
きっとここへ帰りたいと思っている事。
「そうですか……」
貴仁は、なんとなく龍希の話だろうとは、解っていたし、何より居場所が解った安堵を覚えた
「……龍希は、元気ですか?」
そして、迷わず龍希の様子を訪ねた自分に貴仁は少し驚いていた。
塞ぎ込んではいないか?笑えているか?変わらず仕事は頑張っているのか?
出てくる事が、全て、龍希の今を気にする内容だと言う事に、
驚いてその全てを飲み込んだ。
驚いたが、貴仁は眼をそらす事はない
それは貴仁と言う人間が、強いのだと思われがちだが
そうなのではなく、
それは幼い頃から愛され、慕われ、微笑みを見て育って来た彼の持てる、
一種の自信の1つなのかもしれない。
無論、それに本人が気付いている訳ではないだろうが……。
「……元気ですよ。うるさいくらい。……何だか、戻っても大丈夫そうね…」
けんちゃん自身が口調が戻ってしまっていた事に気づかなかったのと同じように、
そこに全く気づかない貴仁は、少し戸惑ったように黙った。
「……戻ったら、迷惑ですか?」
まるで最終質問よと言わんばかりに、
再び訪ねられた言葉に、少し黙ると、貴仁は小さく首を横に振った。
「迷惑では…ありません。……だけど…」
そこで1つ言葉を区切ると、次は珍しくその目を逸らし、力なさげに言うのだった。
「…きっと、……何も応えてやる事は出来ない……」
そう言って小さく笑った。
龍希の想いどころか、自分は、その全てに応えては、あげられない気がする。
彼が、自分を、恋愛のそれで好きだと言った事。
この手に触れたいと願った事。
それどころか、頭の固い自分には、
彼がゲイである。同性を愛するという事すら、
向かい合ってあげられないのかもしれない。
それを知るのが怖い。
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