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キス
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龍希は得ることの出来た自信を愛へと変化させながら
「……大好き、貴仁さんが大好きだ。」
と、震える声で伝えてみせた。
「……ずっと、多分、もう、中学の頃から、ずっと。何度忘れようとしても無理なくらいに、ずっと。」
再会してから何度目の告白だろう
何度伝えても伝わりきらないできた言葉。
けれども、それは今、伝わった。
貴仁はその言葉に何度も頷くと龍希の顔を見つめた。
そして、にこり、と笑むのだ
その笑顔は優しく暖かだ
「うん、ずっと、好きで居てくれて、本当にありがとう。遅くなって、ごめん。」
信じられないようで、それでもこれは真実なのだと理解した龍希は貴仁の顔を見つめると
彼の袖をぐっと掴んだ
そして、小さく震えて言った
「……キス、したい。」
と、言うが早いか、自分の顔を貴仁へぐっと近づけ、
震える唇を、貴仁のそれへそっと重ねた。
重ねたと言うよりかは、
誤ってぶつかってしまったと言った方が正しいのかもしれない。
そんな口づけ
「────!」
思った通りとはいえ、とても驚いたような貴仁の反応に、龍希は慌てて言った
それはまるで言い訳を考えているような。
「……ご、ごめん、気持ち悪いよね?あ、あの、無かった事に………え、と………」
あまりに怯えて言葉をまくしたてる龍希を目の前にしながら、
その男の唇が今し方触れた部分を確かめるように指でなぞると、貴仁の胸は大きく高鳴った
暖かく、柔らかい……と、言うほどでもない、明らかに女性のそれとは違った少し分厚くてゴツゴツとした唇は、潤いすら欠けているような感触だった。
が、貴仁は不思議と胸をバクバクと鳴らし、
何より、またすぐにその感触を味わいたいと強く願ったのだ。
触りたい。その唇に、自分の唇で。
そして、貴仁は龍希の肩をぐっと掴むと
それを寄せつけ、
龍希の唇を自分のそれで塞いだ。
そっと触れるだけの……と、言うには長く
けれども、濃厚な……と、言うには短く
敢えて形容するのならば、
何かを手探りで探し、見つけたそれに触れて確かめるような、
そんな表現が、最適の長さの。キス。
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