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キスの、その後
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「……貴仁さん、違う人みたいだ。」
龍希が言うのは照れ隠しだが的を得ていたかもしれない。
これと理解出来たなら、迷いなど微塵もなくなるのが貴仁だった。
自分は、この男を愛している。心から。香奈子へのそれと同じように。
いや、ひょっとしたならば、それ以上に。
そう思えたのが本心であると、それが理解出来たなら、もう目の前の相手の性別など、何の障害も持たなく感じられた。
「……そう思う?なら、そうなのかもな。これがお前の俺だよ。」
お前の……と言われた事に龍希はのぼせ上がる他なく
小さく、「…オレ、の?」と聞き返すとほろりと零れる涙を隠すように俯いて
小さく、だんだんと強く、想いを伝えはじめる
「……あの、あのさ、貴仁さん、……沢山……多分、沢山壁にぶち当たるよ?辛かったり、悲しかったりする事は絶対に香奈子さんの時の倍以上だと思う。オレは、何も与えてあげられないし、挙げ句めちゃくちゃメンタル弱いしさ、幸せにしてあげられないかもしれないし、
……でも、それでも愛してるって気持ちは、何倍も!何十倍もあげられるから!だから、……だから、離さないで。この手、これ、オレのに、させて。」
言って差し伸べられた龍希の手は、少しだけ冷たくて震えていた。
貴仁はそれに触れ、少し熱を帯びた己の手でその温度を変えると、微笑み
もう片方の手で龍希の唇を撫でながら囁く
ねぇ、口を開いていて。
龍希がそれに従ったのか、それとも貴仁の親指がそこを開かせたのか。
震える龍希の唇は、小さく開くと
すぐに貴仁の唇によって塞がれた。
一度だけ軽く噛みつくように口が動いてみせると、貴仁の舌はすぐに龍希の中へ入ってみせた
「………っ」
ふぅっと、息だけが漏れるのも束の間で
その舌は龍希の前歯を優しく撫でると、その裏側を辿って歩いた
声が出そうなのをギリギリで飲み込むと、
ゴクンと喉が鳴り、代わりに飲み込みきれない唾液は口内に溜まる。
それを吸い取るように息をした貴仁は強くその手で龍希を抱いた
つられて龍希も強く、強く貴仁の背中を抱き上げる。
愛してる、その気持ちの全てを込めたような力強さに、貴仁が思わず唇を離すと、
どちらのとも解らない唾液が口元から流れ出た
「……はっ。」
思わず声を出したのは貴仁で、
それは、龍希の唇が離れる事を許さないかのように、
突き上げ、塞いできたからだ。
噛みつくような口づけは
そうして交互に続き、互いの口内を唾液で溢れさせて終えられる
「……なぁ。散々迷っておいて、キス出来たからいきなり調子よすぎだろって、引くかもしんねぇけどさ、
……俺、今、お前のこと、ちゃんと…その……あー、…でも…わかんねぇから、だから、……俺なりに、愛させて。抱かせ…て。」
少し瞳を泳がせながら唇を切って出た言葉だが、それは次第に強い決意の色に溢れた。そして貴仁はそのまま縁側から続く室内の畳の上へ、ゆっくりと龍希を寝かせ、上から頬へと優しくキスをする。
「……」
見つめ合う瞳は暫し何かを語らうと、龍希は少し不安そうに、いいの?本当に?と訪ねたが、
貴仁の瞳を見つめて悟と頷き、言った。
それは落ち着いた口調。喜びに満ちる事ができた自信。
「……ありがとう、貴仁さんの思うようにでいいから。……大丈夫、オレにまかせて。」
そう言う龍希は、女性のように愛らしく、男性のように頼もしい。
貴仁は、そんな恋人の、その首筋へと口づけをし、2人はそのまま互いの全てにその熱っぽい唇を降らせ続けて愛し合う事を終えるのだった。
それは最高に暖かく、優しい夕暮れである。
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